体外受精の成功率は、どのくらいなのか気になるものです。成功率は、年齢や卵子の在庫量、子宮や卵管等の構造上の問題、精子の状態、免疫の反応などさまざまな要因が影響します。
移植が失敗してしまった場合、次回の成功率を高めるため、原因を把握しておくことが重要です。
先述した通り、体外受精に影響する要因は、年齢や卵子の在庫量、子宮や卵管等の構造上の問題、精子の状況、自己免疫反応など多岐にわたります。
海外で精子提供・卵子提供による代理出産をした方のデータをチェックすると、妊娠率は80~90%に達することもありますが、それでも100%ではありません。
※体外受精の成功率に関するエビデンスは、各クリニックによって微妙に異なります。
失敗してしまう原因として、胚盤胞や構造上の問題、ホルモンなどさまざまなことが挙げられます。ここでは、体外受精が失敗する原因について解説していきます。
移植失敗の主な原因として、胚の染色体異常が挙げられます。染色体正常率を年齢別にチェックしてみると、34歳以下ではおよそ60%、35~39歳では40~50%、40~42歳では20%、43歳以上では8%ほどとされています。
※上記パーセンテージについてのエビデンスは、各クリニックによって微妙に異なります。
しかし、正常な胚を選び出すための方法である着床前スクリーニング検査(PGT-A/PGS)は、注意が必要とされています。
検査のためには胚の生検(少量の細胞を切り取る作業)が必要ですが、この検査が胚の着床能力に影響する可能性があるので、細胞数が少ない胚には不向きです。
また、夫婦のどちらか一方に染色体異常が認められる場合、胚の染色体異常率が大きく増加します。
子宮内にポリープや癒着、筋腫などがあると、胚の着床の妨げにつながります。また、卵管の癒着が原因で水腫が発生すると、着床率が減少するため注意しなければなりません。
移植前に、内膜の厚さが一定の基準に達した後、黄体ホルモンを補給すると、内膜は胚を迎えられる状態になります。
しかし、黄体ホルモンの吸収には個人差があるため、移植のタイミングをあらかじめ調べておかなければなりません。
また、甲状腺も妊娠に影響を与える重要なホルモンです。甲状腺自己免疫抗体を有する女性は、妊娠初期に甲状腺機能低下が見られ、妊娠の結果に影響を及ぼす場合があります。
多くのケースでは、構造的な問題を適切に処理し、ホルモンをコントロールした状態で、正常な胚を移植すると成功率が高まります。
しかし、不妊の状態にある約1割の方は、血栓や免疫反応に関する問題を抱えている場合があります。
例えば、抗リン脂質症候群に関する抗体を所有していたり、プロテインSの数値が低かったりすると、血栓のリスクが高まり、移植後の胚の成長に影響が見られるケースがあります。
免疫反応の有無については、移植の前後に、数値を段階的に測定し、妊娠の結果から過剰反応があったかどうか確認が可能です。
体外受精が失敗してしまった場合、それは妊娠に影響するいくつかの要因が解決していないことを意味します。
成功率には、年齢や卵子の在庫量、子宮のつくり、精子の状態、免疫の反応などさまざまな要因が影響します。そのため、失敗から原因を見つけ出し、調整していくことが大切です。
また、体外受精に失敗してしまうとひとりで思い悩んでしまう方もいますが、そのような際には、医師に相談することが重要です。
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